個人事業主が確定申告でメリットを出すためには?
1、 個人事業主の確定申告とは
個人事業主の確定申告とは、自分で商売・事業を営んでいる場合、年に一度の確定申告によって税金を精算(納める)するための制度です。サラリーマンの場合、会社が給与から天引きして税金を納めてくれている(年末調整)ので、基本的に確定申告の必要はありません。
それに対し、個人事業主は自分で儲け(所得)がいくらだったかを計算し、納めるべき「所得税」のがある場合には申告納税が必要になります。
2、計算方法
商売・事業によって得られた売上「収入金額」から、その売上を上げるためにかかった仕入や人件費、
経費などの「必要経費」を引いた儲けが「所得」です。
その「所得」から「所得控除」といって各人ごとの状況に応じた一定金額を差し引いて残り(課税所得)があれば、
それに「税率」をかけて「所得税」を算出します。
- ・収入金額-必要経費=所得金額①
- ・所得金額(①)-所得控除=課税所得②
- ・課税所得(②)×税率=所得税額③
となります。
3、所得控除
所得控除とは、所得税額を計算するときに各納税者の個人的事情を加味しようとする制度です。
所得控除は下記に該当する項目がある場合(該当するもの全ての合計)には、上記の所得金額から控除する事ができます。
主なものは以下のとおりです。
①基礎控除
要件:要件がなくだれでも受けることができます。
控除額:38万円
②医療費控除
要件:納税者本人または妻や夫(配偶者)、親族のために医療費を支払った場合に受けることができます。
控除額:支払った医療費 − 各種支給された保険金など −(10万円)=医療費控除の対象となる金額
*その年の総所得金額等が200万円未満の場合、総所得金額等5%になります。
③社会保険料控除
要件:納税者本人またはその本人と生計を同じくする配偶者、その他の親族の「社会保険料」を支払ったときに受けることができます。
控除額:支払った社会保険料と同額
④生命保険料控除
要件:納税者本人が一定の生命保険料や介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合に一定の金額の所得控除を受けることが
できます。
控除額:年間の支払保険料による
⑤地震保険料控除
要件:納税者本人が地震等損害部分の保険料や掛金を支払った場合に一定の所得控除を受けることができます。
控除額:年間に支払った地震保険料による
⑥寄付金控除
要件:納税者本人が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定金」を支出した場合には、所得控除を受けることができます。
控除額:A、Bいずれか低い金額-二千円=寄附金控除額
A:その年に支出した特定寄附金の額の合計額
B:その年の総所得金額等の40%相当額
⑦障害者控除
要件:納税者本人もしくは控除対象配偶者や扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることが
できます。
控除額:障害者一人について27万円
特別障害者に該当する場合は40万円
⑧寡婦(寡夫)控除
要件:女性の場合:納税者本人が所得税法上の寡婦に当てはまる場合に受けられます。
男性の場合:納税者が所得税法上の寡夫に当てはまる場合に受けることができます。
控除額:27万円
特定の寡婦に該当する場合には35万円
⑨勤労学生控除
要件:納税者本人が所得税法上の勤労学生(特定の学校の生徒・学生で、勤労による所得があるなど)に当てはまる場合に受けられます。
控除額:27万円
⑩配偶者控除
要件:納税者本人に所得税法上の控除対象の妻や夫(配偶者)がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。
控除額:一般の控除対象配偶者:38万円
老人控除対象配偶者:48万円(その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人)
⑪配偶者特別控除
要件:配偶者に38万円を超える所得があるた「め配偶者控除」が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、
一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。(配偶者の年間の合計所得金額が38万円超76万円未満など)
控除額:配偶者の合計所得金額による
⑫扶養控除
要件:納税者本人に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。
控除額:一般の控除対象扶養親族:38万円(詳細な控除額は国税庁URLをご参考ください。)
⑬雑損控除
要件:災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合に、一定の金額の所得控除を受けることができる。
控除額:(詳細な控除額は国税庁URLをご参考ください。)
⑭小規模企業共済等掛金控除、日本版401K控除
要件:納税者が小規模企業共済法に規定する共済契約の掛金、確定拠出年金法に規定する個人型年金の加入者掛金及び心身障害者扶養共済
制度の掛金を支払った場合に受けられる所得控除です。
控除額:その年に支払った掛金の全額
⑮青色申告特別控除
要件:青色申告者
控除額:65万円
「控除対象のものを控除し忘れた」なんてことにならないように、一覧表を参照に確定申告の準備をはじめましょう。
4、 所得税の税率
所得税の税率は段階的に税率が上がっていく仕組みになっています。
上記で計算した結果の金額に応じて下記の表に当てはめて計算した金額が所得税になります。
課税所得金額(A) | 税率(B) | 控除額(C) | 税額=(A)X(B)-(C) |
~195万円 | 5% | - | (A) X 5% |
195万円~330万円 | 10% | 97,500円 | (A) X 10%-97,500円 |
330万円~695万円 | 20% | 427,500円 | (A) X 20%-427,500円 |
695万円~900万円 | 23% | 636,000円 | (A) X 23%-636,000円 |
900万円~1800万円 | 33% | 1,536,000円 | (A) X 33%-1,536,000円 |
1800万円~4000万円 | 40% | 2,796,000円 | (A) X 40%-2,796,000円 |
4000万円~ | 45% | 4,796,000円 | (A) X 45%-4,796,000円 |
個人事業主の確定申告は、年に一度という事もあり、作業するお時間が取れなかったり、領収書が一年分たまっているなんて事も意外と
あります。作業でお困りの方や、ご相談をご希望の方は当センターの無料相談をご利用ください。